フランカさん、質問です。
「お、なんだい」
ツンデレのお客様から、あなたの料理なんか食べたくないんだから、と言われたけど、注文された時、どう対応するんですか?
「訳わからない質問だね。え、ツンデレが注文? 別にあなたの為に料理してるんじゃないんだからね、って感じか? 私よりめぐのほうが詳しいだろ?」
ふむ。。ツンデレにはツンデレで返す、ということですか。
「そんな客なんていないから冗談なんだけど。もしそんな困ったお客が本当に来たら、私の料理が嫌いというなら、うちでは出せないから断ると思うよ、料理を出すだけならいくらでも対応は出来るだろうけど、お客様に満足してもらえるとは思えないからね、そんな客からお金を貰って料理を出すことなんか出来ない」
なるほど、マジレス返されてしまいました。
「どういうことだい?」
質問自体が冗談でした。本当の質問は、片思いの男性に、長年料理を提供し続けた料理下手の女性がいて、男性から、その女性が作る料理が怖くて食べれない、なんとかしてくれ、と相談されたんです。
「。。。料理の練習させりゃいいんじゃないのかい?」
ええ、それで料理の特訓をして、今や普通の腕前になっています。しかし長年の料理の恐怖がトラウマになっていて、時期柄バレンタインのチョコを、手作りで用意される可能性が高く、なんとかしてほしいと。
「トラウマかい。。精神的な話なら、私達料理人に対応出来ないんじゃないかなぁ。。バレンタインのチョコならその女性の気持ちを受けなきゃ駄目だろうから、作った人が別人だと嘘つくのも良い手だと思えないし。とにかく食べて、もううまくなったんだと受け入れて貰うしかないと思うよ」
トラウマを消せるような時間がないって事なんですよね。男性はあくまでバレンタインの贈り物自体が嫌ということはなく、本当なら女性の料理を美味しく食べたいんでしょう。でも今はまだ怖いと。料理はこの前鍋を食べているんですけど、それくらいじゃ恐怖を消せないみたいで。
「チョコじゃなくて他の物じゃ駄目なのかい? アクセサリーとか愛を伝えるプレゼントなんて色々あるだろ」
なるほど。バレンタインはアクセサリーなど料理以外のものを贈らせる、問題を先送りにするんですね。
「先送りと聞くと嫌な感じがするが、料理がうまけりゃそのうち解決する問題だろ。今無理する必要はないと思うんだ。私達料理人の立場からして、うまい料理で幸せになって貰いたいし、訓練として仕方がなく食べてほしいとは思えないんだよ」
わかりました、提案してみましょう。
「ちなみにその子、去年はどうしたんだい?」
去年は別件で喫茶フランカのチョコを男性にプレゼントしています。
「おや、お客だったのかい。今年もうちのチョコ勧めてくれてもいいよ?」
商売ですよね。去年、お店のノルマで私が販売命じられた分の1つですよ。
「だったらうちのチョコで幸せになってくれ」