「おい、貴様。貴様っていったら貴様だ」
クライスさん、なんか久しぶりですね、元気でしたか?
「勿論だ。爆裂魔法でどっかんどっかんだ。というか私の名前はクラリスクレイスなのだが」
あだ名ですよ、愛称です。長くて間違えやすそうな本名より4文字くらいで収まった方がかわいいですよ。地球には、とんぬら、なんて伝説の勇者もいたそうですよ。改名しちゃってもいいんじゃないでしょうか。伝説の名前クラリスクレイスをあえて、クライスに変えるなんてパネぇですよ。さて、それじゃそろそろ失礼しますね。
「おい、待て。どこにいく」
私クライスさんに用事ありませんので。
「お前に用事がなくても私にあるのだ。いいから聞け」
はいはい、なんですか。
「バレンタインのチョコについてだ。たしか貴様、チョコを貰ったら翌年のバレンタインで誰かにチョコをあげないと呪われると言っていたな?」
そういえばそんな話ありましたね
「それ、本当なのか? ヒューイに話したら、本当かって驚いてたんだが」
バレンタインより前の日に、チョコを要求して、実際にチョコを貰った人間は、翌年同じように、チョコをくれと言ってきた人間に、チョコをあげないと呪われる。別に信じなくてもいいんじゃないですかね、死ぬわけじゃなそうですし、クライスさんの性格なら例え不幸な事が起きても気にされないんじゃないでしょうか。
「不幸な事が起こるのか!?」
そういう伝承らしいですよ。バレンタインだけあってきっと恋愛がらみの呪いとかじゃないですかね、好きな人と付き合えないとか、逆に嫌いな人が身の回りに集まってくるとか。あ、伝承を考えると、ヒューイさんもひっかかってそうですね。
「大変ではないか!」
頑張ってくださいね。それでは。
「待てと言っておる! 重大な相談だ!」
なんですか。
「チョコをあげるのは問題ないだろう、でも、な? チョコをくれって言われるってどうすればいいのだ? 私、今まで一度も言われたことないぞ? 誰でも良いからチョコをあげればいいって話じゃないんだろう?」
んー。そりゃやっぱり良い女なり、可愛い女の子になるんですかね、もてる女になるって意味で。今からじゃ手遅れっぽいですけど。ヒューイさんは黙ってればよさそうですけど。
「私、手遅れか!? 可愛くないか!?」
んー。残念ながら。。イオさんでもぼっちなんですよ? クライスさん、イオさんより可愛いと思ってるんですか?
「え、それは。。き、貴様はどうなんだ!?貴様はイオより可愛いつもりなのか!?」
私が可愛いわけないじゃないですか。何をわかりきったことを。イオさんより可愛かったら、バイトとかで買い叩かれてたりしませんよ?
「貴様、買い叩かれてるのか!?」
いや給料ですよ、買い叩かれてるのは。私が叩かれてるわけじゃないですからね?
「そんなのわかってる! ど、どうしよう。。」
今年じゃ無理でしょうけど頑張って可愛い女の子になって下さい。それじゃ失礼しますねー。
「おい、貴様、可愛い女の子ってどうやればなれるんだ!?」
きゃぴっ。
「。。。。。今の何だ? おい、もう一回やってみろ」